異郷のエキゾティシズム
山部宿禰赤人、不尽山を望める歌一首並に短歌
天地の 分れし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる 布士の高嶺を 天の原 ふり放け
見れば 渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じ
くぞ 雪は降りける 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 不尽の高嶺は
反歌
田児の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ不尽の高嶺に雪はふりける
・・・奈良の都の人々も、東国地方に富士山という巨大な、姿の美しい活火山がある、ということは知っていました。
富士山の絵ぐらいは見ていたのではないでしょうか。
しかし、実際に見たものはほとんどいません。
東国への旅から帰って来た赤人が、そうした人たちに向けて発表した歌と見ていいでしょう。
長歌は、富士を実見したことのない人たちに、その高さ、その神聖さを伝えようとしたものです。
いわゆる叙景歌ではありません。