あるキャンプで・・・
1983年夏、私は家族とともにカンボジアの難民キャンプを訪れました。
前回(1980年)に来たときとは違って、いくつもあった難民キャンプは、縮小統合されて、残っているのはカオイダンのキャンプひとつでした。
戦火をのがれたカンボジアの難民が、着の身着のままで、タイの国境を越えて、このキャンプにたどりついてから、はや5年の歳月が流れたのです。
今回このキャンプを2度目に訪問する前、私は、周囲を鉄条網に囲まれながら、貧しい食事で5年間も生活を続ければ、キャンプが生き地獄になっているだろう、いや、その生活苦に発狂する人もでているに違いない、と思っていたのですが、私の予想は見事に裏切られてしまいました。
人々の表情は明るく、子どもたちは両親や兄弟の愛情にささえられ、のびやかに育っていたのです。
このキャンプのなかに、ひとりの日本人女性が中心となって、ボランティアで維持されている「希望の家」という保育園があります。
そこを訪ねた私は、5歳くらいのお兄ちゃんに抱っこされた赤ん坊の姿があまりにかわいらしいので、手をのばして、その赤ん坊を抱きかかえようと思いました。